発酵の達人
麹
麹は、味噌や醤油、日本酒などを醸す材料としてだけでなく、日々の料理をとびきり美味しくしてくれるチカラを持っています。
毎日の料理に麹をもっと手軽に使いたい。
美味しい発酵食を食べ続けたい。
そこで手軽に作れる発酵調味料「塩麹」の作り方、塩麹を使ったレシピを紹介します。
特別な道具はいりません。いつでも誰でも、すぐに始めることができます。
塩麹は、麹と塩と水を混ぜるだけです。味噌や醤油を仕込むことに比べると、とても短期間で手軽にできます。
そして何よりの魅力が、その美味しさです。素材の旨味を引き出してくれる力を持っています。例えば、塩麹を鳥の胸肉に塗って焼くだけで、塩麹を塗らないものと比較して、旨味成分グルタミンの量が倍ぐらい違います。ホタテや魚も同様です。麹調味料をプラスすることで、料理全体の味がぐっと深まるのです。
まず、麹は、麹菌というカビを、蒸した穀類や豆類に生やした加工食品です。米に生やすと米麹、麦に生やせば麦麹になります。麹は、塩麹や甘酒作りにはもちろん、味噌、醤油、酢などの基本調味料や日本酒、麹漬けなどの発酵調味料にはかかせない材料です。
麹菌は穀類や豆類に生えるときに「酵素」を出します。酵素にはおもに2種類あり、1つ目はデンプンを糖に分解するアミラーゼという酵素で、甘味を出します。2つ目はタンパク質をアミノ酸に分解するプロテアーゼという酵素で、旨味を生み出します。
麹は活性化した酵素そのものと言えます。だから麹を食材と合わせると美味しくなりますし、その後の発酵がスムーズにすすむための土台も作られるのです。
ちなみに麹菌には様々な種類があり、条件によってどちらの酵素を多く作り出す菌になるのかも違ってきます。だからプロの醸造家は、この特性を知った上で麹菌を選んで麹を作り分けています。例えば、米で作る日本酒にはアミラーゼ酵素が多い麹菌がむいていますし、大豆で作る味噌や醤油にはプロテアーゼ酵素が多い麹菌が合うというわけです。
台所に麹のある暮らしは、おのずと、料理をすることの楽しさにも気づかせてくれるでしょう。日本の素晴らしい発酵食品文化を支える麺を、楽しく取り入れていただけたら、とても嬉しく思います。
