発酵食、ここがすごい

保存ができる

発酵は、もともと食材を保存するための知恵。貴 重な食べ物を保存するための手段として考えられた ものです。日本各地(特に日本海沿岸)に伝わる 「熟鮓」も、その中のひとつ。種類豊富な漬け物も、 野菜がたくさん採れない冬に食料を確保するために 工夫されたものです。

発酵菌が出す酸はたいていの腐敗菌にとっては脅 威であるため、その中の微生物が生きている限り、 一度発酵したものが勝敗することは限りなくゼロに 近くなります。そのことを、昔の人は自らの経験か ら知っていたのでしょう。

冷蔵庫がある現代においても、発酵のおかげで食 材を無駄にすることがさらに減少します。捨てがち な部分(野菜の葉や魚の骨)も、発酵によって食べ られる→ゴミが減る→エコにもつながります。

独特のうまみと香りがある

発酵食に共通するのが、クセになるような香りと 風味。これは、微生物の生理作用によって生まれる るのだとか。しょうゆ、みそ、かつお節、納豆、ぬか漬け…どれも特有の香りを放ち、それもおいしさ のひとつになっています。

もう一つは、うまみ。発酵前の食材にはない、甘 い辛いだけでは表現できない複雑な味わいも、発酵 という現象のたまもの。人間の味覚、五味 甘、辛 酸、苦、鹹(塩辛い)に次ぐ6つめの味「うまみ」。 その代表が、日本の「だし」と発酵調味料のしょう ゆといわれています。「だし」に欠かせないかつお 節(枯節)も発酵食品と考えると、発酵と「うまみ には深い関係があることがわかります。

分解力で免疫力がアップ!

人間の体には「消化酵素」と「代謝酵素」という 二つの潜在酵素があります。「消化酵素」は食べ物を分解する酵素、「代謝酵素」は美容や免疫力などにかかわる酵素。毎日生産されますが、その能力は年齢とともに低下します。消化の悪い物ばかりを食べている「 消化酵素」が足りなくなり、体を作るべき「代謝酵素」 にまわされてしま います。そこで、発酵食の出番!発酵食は微生物 がすでに食材を分解してくれているので、体の中の消化酵素の消費を軽減してくれます。「消化酵素」 を節約できるから「代謝酵素」を本来の働き 疫力を上げること――に使うことができるのです。

また、腸で人間の免疫力の1%は決まるといわれ ています。というのは、免疫細胞をつかさどる白血 球の中のリンパ球の約10%が腸に集中しているため。 腸には体に有益な働きをする「善玉菌」、有害物質 を作る「悪玉菌」、それと二つの菌の勢力が強いほうに味方する「日和見菌」の三種類の腸内細菌がます。善玉菌が増えれば腸内環境が整い、悪玉菌が増えると腐敗= 下痢や便秘に。発酵食には善玉菌を増やす働きがあることからも、発酵食 = 免疫力アップ、というのも納得できます。

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